短篇集
短篇集
マリコ/マリキータ
著者:池澤夏樹
ぼくのために用意された世界なのか、世界の一隅にひっそりと生きているぼくなのか。――「帰ってきた男」より
風のように自由で奔放なマリコとの恋を描く表題作「マリコ/マリキータ」、森の木から木へ自在に空を滑空するムササビのように社会の枠組みから外れて自由に生きる兄を語る「梯子の森と滑空する兄」、天空の不思議な力との交感を思わせる「アップリンク」、乳飲み子を抱えて姿を消した若い母親の行方を力強くポジティブに想像する「冒険」、神と出会った男の至福と錯乱を描く「帰ってきた男」の五篇を収録する、池澤夏樹の最初の短篇集。